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2025/07/18 10:20 |
東方武刃伝 壱の壱 【来訪者】
壱の壱  来訪者


 時は一日程遡る。場所は神社。幻想郷を囲う博麗の大結界を管理している今代の巫女が住まう場所。博麗の巫女、博麗霊夢が管理する博麗神社。
 その神社の裏手にある母屋の一室に霊夢は座っていた。赤と白の巫女服、と言うといたって普通の巫女服に聞こえるが実際は上着の肩から二の腕までを覆う部分がざっくりと切り取られ、ところどころにヒラヒラのレースが取り付けられている。下は袴ではなくスカート。真っ赤なスカートにも白のレースがついており、女の子らしいといえば女の子らしい服装なのかもしれないが、少なくともこれを巫女服と呼ぶには抵抗があるところだ。頭には白いレースのついた大きな赤いリボンをしていて、全身赤と白の衣装を身に着けている。
「で?あんたがこんな昼間にわざわざ私を訪ねて来るなんて、いったい今度は何を企んでいるのかしら?」
 今、霊夢の目の前に一人の妖怪がいる。数々の異変を解決し、その異変の数の何倍もの妖怪を懲らしめてきた妖怪退治の専門家、博麗霊夢の目の前に。
 決して物怖じせず、むしろ余裕綽々の微笑を霊夢に向け堂々と座っていた。
「あら、私がただ遊びに来ただけとか、ちょっと寄ってみただけとかそういう風には考えないのかしら?」
「考えないわね」
 即答した。
「だって、夕方ならまだしも、こんな日が昇りきってもいない時間にあんたが外に出ている時点で何かあるにきまってるじゃない。大寝坊妖怪の八雲紫さん?」
 妖怪・八雲紫は昼はあまり姿を見せることがない。それは幻想郷の誰もが知っていることで、昼間は専ら紫の式神である八雲藍か、その式神の式である橙が行動している。噂では夜な夜な何かをしているのらしいのだが、実際に何をしているのか、それは式神である藍ですら知らないようで幻想郷の大きな謎の1つである。
「あら、こんな可愛い私だけれど一応妖怪だもの。昼に姿を現さなくても別に不思議じゃないでしょう?妖怪は夜に活動するものよ。普通は」
 心外だわ。と少し怒った表情を作りながら紫はプンプンと一般論を説く。自分が一番一般論とかけ離れた存在だというのによく言ったものだ。
 八雲紫は幻想郷の中でも大分古株の妖怪である。それは幻想郷という地が誕生する時にも存在したと伝えられるほどの昔から。しかし、その八雲紫も見た目は少女の様な風貌をしている。  ゆったりとした白と紫の少し派手目のドレスに身を包み、緩くウェーブのかかった金の髪は派手さを更に引き立てる。外に出る場合はどんな時でも日傘を指しており、遠目で見ても一発で誰か判るほどだ。
「ま、いいわ。私も早く帰って寝たいし、面倒な前起きしないで済むのは助かるわ。で、今日は魔理沙は来ていないのかしら?どうせここに居るだろうと思ってわざわざこの時間に出向いたのだけど」
 気だるそうに姿勢を正し話を始めようとした紫だが、いつも呼んでいなくとも出てくる白黒の魔女がいないことに気がついた。
 確かに気がつけば一緒にお茶を啜っていたりするが私だって逐一魔理沙の居場所を把握しているわけではない。
 ないのだが、
「今日は確か……」



「今日も正々堂々正面から盗みに来たぜ!」
 威風堂々。という言葉が似合うほど堂々と犯罪を宣言する。
 真っ白なシャツの上に真っ黒なワンピースのような服。腰には真っ白なエプロンを巻いた全身白黒の女が腰に両手をあて、堂々の仁王立ち。白いリボンが巻いてある黒のとんがり帽子の鍔を持ち上げ、悪戯っ子のような笑顔で正面を見据えていた。
「正面から堂々と盗むのは強盗と言うんですよ?泥棒よりよっぽど性質が悪いですね」
 魔理沙の正面にそびえ立つ洋館、紅魔館。幻想郷では珍しい西洋風の建物で、中には吸血鬼の姉妹と、メイドたちが住んでいる。見上げるほどの立派なお屋敷、手入れの行き届いた数々の花たちが咲き乱れる庭園、そして来るものを圧倒する巨大な壁、そして壁を越え屋敷に出入りする為の重厚な門。
「漢字で書くと『強い盗人』だな」
 しかしそう簡単にこの門を潜ることは出来ない。何故ならば
「『強引な盗人』の間違いでしょう?なんにせよ、今日はあなたに勝ち目はありませんよ。怪我をする前に帰ったほうが身の為です」
 この館の門番、紅美鈴がいるからだ。頭に大きな中華帽を被り、緑色のチャイナを着こなす中国拳法の達人。ピッタリと肌に吸い付くような服はそのふくよかな体のラインを際立てている。腰まで伸びたロングヘアーを揺らしながら立ちふさがる近接戦闘のスペシャリスト。近接戦闘での能力なら幻想郷最強クラスである。
 そう、近接戦闘でなら、だ。
 徹底した遠距離戦を仕掛けていけば何とか勝てなくもない。そこに付け込み魔理沙はいつも強行突破してきた。
 遠距離対近距離では、どうしても近距離の分が悪い。もちろん、美鈴ほどの達人なら鉄砲の一つや二つどうと言うことは無い。しかし、壁とも思えるほどの大量の魔法弾を避け、接近し攻撃を叩き込まなければならない。だが、もし懐に入られてしまえば遠距離攻撃では絶対に勝ち目は無いだろう。実際、魔理沙も強引ながらも絶対に懐にだけは飛び込まれないよう注意を払い弾幕を張っている。
 とりあえずは細心の注意を払いつつ遠距離戦を仕掛ければ何とかならなくも無い。
 しかし、今日は何故かいつもに増して自信たっぷりな様子。何か策でもあるのだろうか?
「その様子だとまだ知らないみたいですね。と言っても、私も知ったのは昨日ですし、別に知らなくて恥ずかしいと言うことは無いですし。ま、身をもって体験するといいですよ。ささ、通りたければ私を倒してくださいね」
 そう言って美鈴は軽く腰を落とし構えを取る。
知らない?いったい何を知らないと言うのだろうか。ハッタリか?
美鈴の構えからは別段変化は見て取れない。何度もここを通るうちに見慣れたものであり、何か策があるとは思えない。ここは慎重にいくべきかもしれない。だが
「今日は予定が詰まってるんでね!時間を無駄にするわけにはいかないんだ!一気に決めさせてもらうぜ!」
 ポケットから取り出した小瓶を上空に放り投げ、美鈴の構えの外側に回りこむように右へ走る。走りながら左手に魔力を込めて腕を振る。左側へ曲線を描きながら当たるように魔力弾を生み出す。流れるような動作で更に正面から美鈴を狙い撃ち、頭上と右と正面の3方向から挟み撃ち、怯んだところを決め技で吹き飛ばす。いつもの手順でいつものように美鈴を倒す予定だった。
「っ!?」
 美鈴の正面に魔法弾を撃ちこもうとしたところで猛烈な違和感を感じ後方へ急遽飛び下がった。
 なんだ?弾が・・・出てない!?
 回りこみながら撃ったはずの魔法弾が出ていない。撃った手ごたえはあったのに、飛んでいった様子は無い。まるで、撃ち放った瞬間に掻き消えてしまったかのようだ。
 後方に着地と同時に最初に上空に放り投げた小瓶が地面に落ちた。本来、この小瓶にも特殊な魔法を込めており空中で爆発、四散し上空から美鈴に魔法弾の雨が降り注ぐ予定だった。しかしその瓶は空中でその魔法を発動させることなく重力に従い放物線を描いて落ちるだけだった。
 地面に落ちた瓶は『ボンッ』と空気が爆ぜるような音と共に爆発した。美鈴の足元で爆発した瓶は激しい砂埃を巻き上げ二人の姿を覆い隠す。
 魔法弾が出ない。しかし、瓶は爆発した。魔法を打ち消す結界か何かが張ってあるのかと思ったが、空中で四散することは無くとも爆発はする。つまり、直接的な方法であれば同等の効果は発揮できるということか?飛び道具系を無効化する罠、それが美鈴がさっき見せた余裕の表情の正体?
「さて、魔理沙さんのターンはこれで終了ですか?なら、次は私の番ですね」
 砂埃で遮られた視界の向こうから美鈴の声が聞こえた。と同時に、掻き分けるように砂埃の中から美鈴が躍り出る。
「くそっ!」
 毒づきながら思考を巡らせる。
 設置系のトラップなら範囲は限られているはず。パチュリーならかなりの広範囲になりそうだが、いつ来るかわからない外敵に対しての罠をパチュリー自信が張るとは思えない。この門番にも扱える程度のものだとすれば・・・大体二十~三十ってところか?
 詰め寄る美鈴。魔理沙との距離は3歩といったところ。近距離での戦闘は避けなければならない。近距離で戦えばこちらに勝ち目などないのだから。
 しかし、美鈴が先に行動を起こした。一瞬体を縮めたかと思うと、全身をバネの様に弾けさせ弾丸の様なスピードで突きを叩き込んでくる。
 魔理沙の速度では避けることは出来ない。あの拳が真っ直ぐに突っ込めば鳩尾辺りにめり込み、3日くらいはご飯が美味しく食べれなくなってしまうことは間違いない。
 魔理沙は咄嗟に後方へ。突進攻撃とはそれほど選択肢が多いわけではない。スピードを生かした攻撃は必然、直線的になり易い。美鈴の攻撃も同じだ。一直線に懐へと突っ込んでくる。だからといって避けるのが簡単と言うわけでもない。美鈴の攻撃スピードは尋常ではない。それに搦め手の多い中国拳法。避けても追撃が来る可能性が高い。
 魔理沙は後方へ跳んだが、当然だがバックステップよりも突進攻撃の方がスピードが速い。当然魔理沙の腹部へ吸い込まれるように美鈴の放った拳が突き刺さった。
「むっ!」
 しかし、美鈴の攻撃は魔理沙が差し込んだ掌によって遮られていた。
 避けたり反撃したりは難しいが、的を絞って防御に徹すればならなんとかなる。即ち、顎、咽喉、鳩尾辺りの急所だ。このあと連打を叩き込まれたりすればまた状況は変わるのだが、魔理沙は美鈴の攻撃の威力をそのまま受け止め、後方へ吹き飛んでいく。
 距離を取ることに成功した魔理沙はすぐさま次の行動を開始する。
「距離を稼いだところでどうにもなりませんよ?」
 今の美鈴の反応、離れられるとまずくて挑発しているのか。真偽は定かではないが、まずは行動してみなくてははっきりしない。
 吹き飛ばされた勢いのままさらに2回ほど後ろに飛ぶ。十分に距離を稼いだところで魔理沙は箒に跨り上空へ飛び上がる。
 さっきの魔法を無効化するトラップが、一定空間内の魔法を無効化する。なんて超万能な性能ではないはず。たぶん、一定空間内で発動する魔法をキャンセルする。程度のものだろう。無効化できるのだったら美鈴はそのトラップ内にいれば無敵。追いかけてきたということは、外から攻撃されればひとたまりも無いのだろう。
「それなら、罠の範囲外から全部まとめて焼き払えば問題無し!」
 ニヤリと、危ない笑みを浮かべ、魔理沙はポケットに手を突っ込んだ。
大分遅れてスイマセン。仕事が忙しくて、最近家に帰っても仕事ばっかりだったんです。
鳴海さんに怒られたので、気合入れてすごい長期連載を覚悟で書きたいことを全部書いていこうと思います。
キャラの口調とかが微妙にはっきりとイメージ仕切れてない部分があるので、こんな感じじゃなくない?みたいなことは多々あると思います。
とりあえず、椛はわざとそんな感じです。
次もできるだけ早くうpします。つまらない小説だとは思いますが、ちょっとの間お付き合いをお願いします。
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2009/04/01 03:31 | Comments(0) | TrackBack() | 東方武刃伝

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